新緑のシャワーを浴びよう!森林浴の効果・樹の香り・樹木の種類

新緑の美しい季節です。若葉の緑、木漏れ日、小鳥のさえずり、自然の息吹きにふれると、思わず気分が爽快になりますね。1年のなかでも、新緑の樹々にはフィトンチッドがたっぷり。近郊の森林浴に出かけて心も体もリフレッシュしてみませんか?それぞれ香りの違う樹の特徴も興味深いです。

森林浴とフィトンチッド

フィトンチッドとは

日常、初夏のころの公園をふらっと歩くだけでも気持ちのいいものです。若葉の季節の緑が爽やかな感じがするのは、樹木から発生するフィトンチッドの効果によるものといわれています。

「フィトン」=植物、「チッド」=他の生物を殺す能力という意味で、植物は身を守るために、有害な細菌類を殺す力を持っています。成長期の若葉はフィトンチッドをいっぱい発散して、その芳香成分で昆虫や動物たちに葉や幹などを食べられないよう身を守っているのです。

フィトンチッドは目には見えませんが、植物からは「テルペン」という揮発性物質が発散されていて、そのテルペンのなかにあるのがフィトンチッドです。

6月〜8月にかけて樹の精油量がいちばん多く、冬は少なくなります。そのため、森林のなかのテルペン濃度は春から夏にかけて多くなり、空気が新鮮でおいしいと感じるわけです。

1ヘクタールの森林は年間約30kgのフィトンチッドを空気中に放出しているともいわれています。

森林浴の効果

フィトンチッドの作用は、「森林浴」や「森林セラピー」など、健康増進やいやし効果のあることで注目されています。森林を散策すると、ストレスホルモンが減少し、気持ちが安らいでリラックスできます。また、脳の働きを活発にし、免疫機能を高める効果も期待されています。

昔は現代人よりもっと身近に樹木を感じながら暮らしてきました。古くから気管支の薬剤として利用されたり、ハッカの葉に含まれるメントールは肩こりの治療などに使われてきました。また、針葉樹にはα-ピネンと呼ばれる成分が含まれ、抗菌作用や防腐作用もあります。

植物はその生命を維持するため、成長を促すために、フィトンチッドを幹や葉から大気中に放出し、その働きで空気をきれいにし、人間のためにも役立っているのです。

樹木の香り成分

樹木はそれぞれの樹によって香り成分(精油)が異なり、幹よりも葉に多く含まれています。ニオイヒバ、ヒノキ、トドマツ、エゾマツ、スギなどの針葉樹では「モノテルペン」が放出されます。また、クスノキ、ヤブニッケイ、クヌギ、コナラなどの広葉樹では「イソプレン」が多く放出されます。

精油は針葉樹のほうが多く含まれていますが、広葉樹でもクスノキ、シキミなどに多く含まれています。

紅葉が美しい落葉樹のカエデやブナ、クヌギなどは、春になると若葉が芽吹きます。マツやクスノキ常緑樹も春から夏にかけて古い葉の横から新しい葉をつけます。葉の小杖をよく観察してみると、うす緑のやわらかな葉が芽吹いているのがわかります。

新緑が目にまぶしいほどの緑の空間は、1年のあいだでこの時期だけの森の贈り物です。小さな森の住人になった気分を味わいましょう。

樹木の種類

ブナ

ブナは冷温帯性の落葉広葉樹で、北海道南端から九州まで広く分布しますが、東北地方から中部地方の日本海側に多く生息しています。

春は新緑、夏は深緑、秋は紅葉、冬は落葉、その雄大で美しい姿から「森の女王」と呼ばれます。なかでも、新緑の葉は細かな毛でおおわれ、最も美しい時期です。

白神山地のブナ林が世界最大級の規模で分布しており、世界自然遺産として登録されました。ブナ林の根元には地域特有の植物や、さまざまな昆虫、小鳥、小動物などの生態系を保っています。

ケヤキ

ケヤキはニレ科ケヤキ属の落葉高木で、東アジアの一部と日本に分布しています。高さ20-25mの大木になり、箒を逆さにしたような樹形が美しく、街路樹などとしてもよくみかけます。

大空に広がる新緑のすき間から木漏れ日がもれ、そのようすは初夏のすがすがしさを感じさせてくれます。

神社やお寺のシンボルとして、樹齢1000年を超える巨木には風格がただよいます。古代には神の鎮座する場所とされていて、今もケヤキをシンボルに指定している県や市町村も多く、私たちに馴染み深い樹のひとつではないでしょうか。

マツ

松は、熱帯・亜熱帯からロシアやカナダなどの北極圏まで、北半球に広く分布しています。

松並木、松林、門松など、松の樹は古くから日本人にとって貴重な存在です。常緑高木で、1年じゅう緑の葉が茂っているところから常若(とこわか)といって長寿の象徴とされています。

黒松や赤松の老大木の松林が、たくましく風雪に耐えている姿も人々の心を勇気づけてくれます。

黒松、赤松、五葉松など、自生するもののほか、庭木や盆栽、生花にもよく用いられます。

スギ

杉は日本人にとって最も身近で、北海道の南部以南の日本全土に分布しています。円錐形に高くそびえ、樹齢2000〜3000年という杉が各地に残されています。スギの名の由来は真っ直ぐ高く伸びる木=「直ぐ木」からきていて、樹高50m、幹周り10m以上の巨木も珍しくありません。

昔から杉の木は神の宿る木として神木となっています。「地蔵杉」や「天狗の住み家」と呼ばれ、人々から崇拝の対象とされてきました。杉の大木を中心に、今でも美しい森が残されています。

クスノキ

本州中南部から四国、九州、沖縄、台湾、中国南部、インドシナなどに分布しています。常緑高木で若葉はしだいに緑色になっていき、葉の寿命は1年で赤く染まり落葉します。

人手の入らない森林ではあまり見かけず、人里に近い神社林で神木として人々の信仰の対象とされています。

クスノキは「楠」「樟」の字があてられ、樹木全体から強い樟脳(しょうのう)の芳香があり、防虫効果があります。

葉に厚みがあり、葉をつける密度が高いため、交通騒音低減のために街路樹としても活用されています。

まとめ

森林浴は半日もあれば、近郊の山や森林公園で充分に楽しむことができます。親しみのある自然林は、いつ行っても発見があり、安らぎがあり、喜びがあります。ぜひ、出かけてみましょう。

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