温州みかんをはじめ、はっさく、ぽんかんなど手軽なビタミンC補給に欠かせないかんきつ類。ここ最近は、清見、はるみ、不知火(しらぬい)など、甘くて香りがいい新品種も人気です。まだ食べたことがない、いろいろなタイプを食べ比べて、お好みを探してみましょう。おいしさを保つ保存方法もご紹介します。
かんきつ類の産地と季節
1.秋〜冬が旬の温州みかん
おもな産地 | 静岡、和歌山、愛媛、長崎、熊本 |
収穫時期 | 極早生温州9月〜10月ごろ |
早生温州10月〜12月 | |
中生温州11月〜12月 | |
普通温州12月〜2月 |
私たちがみかんと呼んでいるのは日本生まれといわれる温州みかんのことをいいます。その種類はとても多く「有田みかん」「山川みかん」「三ケ日みかん」「愛媛みかん」のように産地の名前をつけて販売しています。
また、最高級の味を目指した長崎県の「味ロマン」、愛媛県の「味ピカ」、和歌山県の「紀伊の明星」などブランド名がついているものもあります。こちらは収穫量も多くなく希少です。
最近、私がはじめて口にした「真穴みかん」はとても甘く、それはもう感動ものでした。産地は愛媛県宇和島で太陽の光をいっぱい受けて、海の反射のある狭い斜面で作業するため機械化が困難ですが、それだけに農家の方の気持ちが伝わってくるようです。収穫時期は11〜12月と短く、この時期だけのありがたい恵みです。
2.冬が旬のはっさく・いよかん
・はっさく
おもな産地 | 和歌山県、広島県、愛媛県 |
収穫時期 | 1月〜2月 |
はっさくは、みかんと同様に日本で生まれたかんきつ類です。江戸時代に広島県因島で発見されました。
現在のおもな産地は、和歌山県が全国の約67パーセントとトップです。つぎに、広島や愛媛などとなっています。
はっさくは皮が厚く、ナイフで切り目を入れてからむくとむきやすいです。甘ずっぱい酸味が特徴で、果肉も多くサクッとした食感が楽しめます。
このところ甘さを追求したかんきつが多いなか、昔ながらのなつかしい味わいがあります。
・いよかん
おもな産地 | 愛媛県、和歌山県、佐賀県、山口県 |
収穫時期 | 1月〜2月 |
いよかんも日本原産のかんきつ類で、明治19年に山口県の萩で発見されました。みかんより大粒で果皮、果肉ともに鮮やかな黄色をしています。むきやすく、たっぷりの果汁、甘さや香りもバランスに優れています。
現在の産地は愛媛県が全国の90%をしめ、「いよかん」の名前は愛媛県の「伊予」にちなんでつけられました。そのほか、和歌山県、佐賀県、山口県などでの温暖な地域で栽培されています。
3.春先が旬のぽんかん・でこぽん
・ぽんかん
おもな産地 | 愛媛県、鹿児島県、高知県、熊本県 |
収穫時期 | 1月中旬〜2月(12月中旬から収穫し1ヶ月貯蔵庫で熟成) |
ぽんかんはインド原産のかんきつ類で、中国から台湾、そして鹿児島へと明治29年に伝わりました。名前の由来は「ぽん」はインドでかんきつ系のお酒のことで、「かん」はかんきつの柑からつけられたそうです。
温州みかんより大きくて甘く、皮がむきやすく、手軽に食べられるのが特徴です。とくに温暖な地域しか収穫できず、愛媛県収穫量が国内で1位。鹿児島県、高知県、熊本県宇和島市、西予市などでも栽培されています。
・でこぽん(不知火)
おもな産地 | 熊本県、愛媛県、和歌山県、佐賀県、広島県 |
収穫時期 | 3月〜4月 |
でこぽんは、清見×ぽんかんを交配して、1972年に長崎県の農水省果樹試験場で誕生したものです。頭部がこぶのようなデコを持つ特徴的な外観と食べごたえのある食感から、でこぽんと名付けられました。
でこぽんは温暖なみかんの産地で育ちますが、本格的な栽培が熊本県の不知火地区で始まったことから、不知火の名前がつけられました。
一般的な温州みかんより大きく果皮はゴツゴツしていますが、手でむきやすく酸味がない甘さで人気です。ちょうどみかんの時期が終わる3月ごろ旬になるので、かんきつ類が好きな人は待ち遠しいのではないでしょうか。
4.初夏が旬の甘夏・土佐文旦・日向夏
・甘夏
おもな産地 | 鹿児島県、熊本県、愛媛県、和歌山県 |
収穫時期 | 3月〜6月 |
甘夏は夏みかんの枝変わり品種です。大分県の農園で発見され、1950年に品種登録されています。
晩秋になると実をつけますが、酸味が強くまだ食べられません。甘くなるのは翌年3月ごろに収穫時期を迎えます。
夏みかんは酸っぱくて種が多いイメージがありますが、甘夏は酸味が少なく甘みもあります。果皮が固くてむきにくいときは、ナイフで切り込みを入れるとむきやすくなります。袋も少し固いので、取り除いて食べましょう。さわやかな初夏の香りが口いっぱいに広がります。
・土佐文旦
おもな産地 | 高知県、愛媛県、鹿児島県 |
出荷時期 | 3月〜4月(収穫後1〜2ヶ月追熟させて出荷) |
文担はぽんかんと同じ東南アジアが原産で、日本には江戸時代に伝わりました。ボンタン、ザボンとも呼ばれますが、果肉が淡い黄色のものが文旦、果肉が赤い品種がザボンに変化したようです。
土佐文旦は高知の代表的な柑橘類で、香りの高さとさわやかな甘味、そしてほのかな苦味が特徴です。収穫から1ヶ月ほど保管して追熟させると食べころになります。
片手では持ちきれないほの大きさで、果皮が分厚く種もたくさんあります。でも、果実はグレープフルーツのようなすっきりとした味わいで、プリっとした食感があります。
・日向夏(ひゅうがなつ)
おもな産地 | 宮崎県、高知県 |
収穫時期 | 5月〜6月 |
日向夏は、1820年に宮崎市で偶然発見されたものです。
現在は宮崎県のほか、高知県、愛媛県、熊本県、などでも栽培されていますが、生産地によって小夏や土佐小夏、ニューサマーオレンジという名前で販売されています。
果実は温州みかんより大きく、香りの高さと上品な甘味が特徴です。日向夏のむき方は、りんごの皮をむくようにらせん状に全体の皮をむいていきます。実を縦に半分に切り、ひと口大のそぎ切りにして食べるとおいしいです。
レタスなどとサラダにして食べるとふかふかの皮もおいしくいだだけます。
5.カンキツ新品種
近年では、交配種の「清見」や「せとか」「南津海(なつみ)」など、ブランドの新品種も香りがくジューシーで注目されています。それぞれの収穫時期も違っているので、旬の時期を探して食べ比べてみてください。
・せとか
産地 | 愛媛県 |
収穫時期 | ハウスもの12月中旬〜 露地もの 2月〜3月 |
せとかは、清見×アンコールとマーコットを交配してつくられた新品種です。果皮は薄く表面がツルツルして輝いています。濃厚な甘みとジューシーさが特徴。愛媛の温暖な気候とひとつひとつていねいに栽培されたブランド品です。
・清見
おもな産地 | 愛媛県、和歌山県、佐賀県、広島県、熊本県 |
収穫時期 | ハウスもの1月〜 露地もの3月〜4月 |
清見は温州みかんとトロビタオレンジを交配させたものです。種が少なく実がつまっているのにやわらかな食感があります。果皮はオレンジとよく似ていて、ナイフでくし形にカットして食べます。「清見」は育成地の静岡県の清見潟に由来しています。
・甘平(かんぺい)
産地 | 愛媛県 |
収穫時期 | 1月下旬〜3月 |
甘平は、西之香×不知火(しらぬい)から誕生した愛媛の新品種です。2007年に品種登録されたばかりですが、ゼリーのような食感と濃厚な甘さで人気上昇中です。紅まどんなとともに愛媛の高級かんきつコンビです。
・南津海
おもな産地 | 愛媛県、和歌山県、広島県 |
収穫時期 | 4月中旬〜6月 |
南津海は、山口県の農家・山下弘三さんがカラマンダリン×吉浦ぽんかんを交雑した品種です。収穫時期が初夏であることから、なつみと名付けられたそうです。
見た目は温州みかんに似ていて、果皮は厚めでむきやすく薄皮ごと食べられます。樹熟させるため濃厚な甘さが特徴。春から初夏に出回るかんきつ類として、収量も少ない極稀少品種です。
かんきつ類の保存方法
常温保存(約1週間)
かんきつ類は外側の皮が薄いので、乾燥しないよう新聞紙などに包んで風通しのよい冷暗所に置いておきましょう。
冷蔵保存(約2週間)
生のままで食べられそうにないときは、早めに冷蔵保存してください。その場合は、1個ずつキッチンペーパーなどで包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室で保存します。そのまま入れると水分が抜け酸味が増します。
冷凍保存(約2ヶ月)
箱入りで届いて食べきれそうにないときは、あらかじめ冷凍分をつくっておくといいですね。皮をむいて房に分け、ぽんかんの半量のグラニュー糖をまぶして保存袋に入れて冷凍します。
食べたいときにミキサーでシャーベットにすると、おいしいデザートの出来上がりです。
加工保存
ぽんかんジャム(約3ヶ月)
材料
・ぽんかんの果肉……2個分(500g)
・グラニュー糖……200g
つくり方
①ぽんかんは薄皮と種を取り、実を手でほぐします。
②鍋に①を入れ、グラニュー糖を混ぜて1時間置きます。
③②を中火にかけてアクを取りながら30分ほど煮詰めます。
わやかな酸味と甘みのあるジャムができます。
ぽんかん以外のかんきつ類でも、同じようにジャムをつくることができます。種類によって果肉の水分量や実の火の通り方が異なりますが、いろいろ試してみてください。
まとめ
ひと口にかんきつ類といっても、香りや糖度、食感などいろいろ違いがありますね。収穫時期も少しずつ違うので、ぜひおいしい時期にみつけて味わってみてください!