いしかわの底引き網解禁!甘エビ・ノドグロ・カレイ…おいしい食べ方も

9月3日は、待ちに待った底引き網漁の解禁です!石川県はこれからがお魚のトップシーズン。アカガレイ、ノドグロ、ハタハタ、甘エビ、イカなどなど。日本海の新鮮な海の幸は、関西や関東方面にも出荷されているので、市場やスーパーなどで目にしたらぜひ味わってください!今回は、解禁になった魚の種類とおいしい食べ方をご紹介します。

底引き網ってどんな漁?

石川県の底引き網漁法は、1艘曳きによる「かけまわし」という方法で行われます。漁船から海底に網を沈め、海中100〜300mの低層を網で曳(ひく)漁をいいます。

浅い海域ではノドグロササガレイなどが、深い海域では甘エビアカガレイなどが網に入ります。

底引き網漁は、石川県では加賀市から珠洲市の海域で操業されます。主な水揚港は、橋立漁港、金沢港、輪島港、蛸島漁港、石崎漁港、などで新鮮な海の幸が水揚げされます。

底引き網の漁船は9月1日夜に一斉に初出港、翌日午後には甘エビなどを積んで寄港し、夕方から競りが行われます。

漁師さんたちは水揚げ後は夕食と休憩をとり、再び夜の海へと出港して漁場へ向かいます。シケなどで年間100日程度しか出港できないそうですが、これから寒くなるにつれ魚も脂がのってどんどんおいしくなっていきます。

底引き網漁は、9月1日に解禁し翌年5月いっぱいまで操業。また、同じく底引き網漁のズワイガニ漁は11月6日から3月20日までが解禁期間となります。

甘エビのおいしい食べ方

甘エビは能登半島沖合の深い海底に棲んでいます。底引き網で獲れるなかでもたくさん獲れ、金沢市がブランド化を目指しているほどの人気ぶりです。

エビの仲間でも赤色が鮮やかで、殻がやわらかく味わいも絶品だからだででしょうか。

  • 甘エビの刺身

新鮮な甘エビは刺身がいちばん。さっと水洗いして頭と殻を剥くだけ。プリプリとした食感ととろけるような甘みが格別です。9〜12月ごろまでは産卵前で身が太っていて食べごたえも充分。

  • 頭は味噌汁

頭は捨てずに味噌汁にします。ミソのところを吸うと、濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。地元では、甘エビ刺身と味噌汁はセットで食卓にでてきます。

  • 具足煮

甘エビを殻つきの姿のまま煮たものを具足煮といい、金沢の郷土料理として親しまれています。味付けは、砂糖、しょうゆ、みりんを入れ、5分くらい煮ます。

里いもやだいこんなどの野菜と合わせると、甘エビのだしがしみこんでごはんのおかずにもぴったり。甘エビは野菜を煮込んだあとに入れ、煮すぎないように。ひと口で食べられるくらいの大きさがちょうどいいサイズです。

  • 天ぷら

刺身の残りや特売品が手に入ったら、甘エビのかき揚げがおすすめ。姿のまま殻付きで、ゴボウ、玉ネギ、ニンジン、ミツバなど冷蔵庫に残っている野菜とかき揚げにしていただきます。

ノドグロのおいしい食べ方

秋口にとくに脂ののったノドグロが水揚げされ、高級魚として扱われています。「アカムツ」が和名ですが、口のなかが黒いことから「ノドグロ」と呼ばれ、全国的にもこちらの呼び名のほうが有名ですね。

北陸新幹線の開通によって観光客のあいだで人気が高まり、お値段も高くなってしまいましたが、いちどは食べてみる価値あり。

白身魚でありながら体脂肪が20%以上も含まれ、脂ののりはマグロのトロに匹敵するとか。

  • ノドグロの煮つけ

    大きなサイズのノドグロは料理店などへ運ばれるのでしょうね。地元のスーパーで売られているのは、ほとんど小さいサイズのノドグロです。酒、みりん、しょうゆで煮つけると、やわらかな身ととろける脂がなんとも味わい深いです。
  • 干物の塩焼き

煮つけはもちろんですが、干物の塩焼きもまた格別です。一夜干しするとうま味が凝縮され、いっそうおいしさがアップした感じです。

最近は、金沢の回転すし店や居酒屋などでノドグロの炙り、丼、鍋など、いろいろなノドグロ料理が提供されています。グルメツァーもいいですね。

カレイのおいしい食べ方
アカガレイ・口細・笹ガレイ

夏くらいからおいしくなり始める口細(マガレイ)をはじめ、アカガレイ、スガイ、笹ガレイなど、石川県は底びき網で獲れるカレイ類が豊富です。

アカガレイは、全体的に赤みがかった体であることからアカガレイと呼ばれます。この赤みがかった色と適度のヌメリがあるものが鮮度の目安となっています。

1年を通して獲れますが、産卵時期を迎え身体にたっぷり脂肪をたくわえているので、旬は冬から春とされています。

  • アカガレイの煮つけ

新鮮なものは刺し身で食べられますが、脂ののった子持ちガレイは煮付けにすると格別です。

また、焼き魚も淡白で臭みがなく、細かい骨もなく食べやすい魚です。

  • 口細の塩焼き

口が細いことからクチボソと呼ばれています。40cm以上になる大型のカレイで、身も暑く味は最高。旬は秋、冬。

刺身は薄造りがよく、塩焼き、煮つけなど、ふだんの食卓に欠かせない魚のひとつです。

  • 笹ガレイ

東京をはじめ各地で柳虫カレイの名がありますが、笹のように体が薄くて細長いので、地元では笹ガレイの名で知られています。

笹ガレイは北陸で「温泉カレイ」と呼ばれていて、加賀温泉郷の宿の朝食の定番です。手のひらサイズの一夜干しはやわらかく、うま味が凝縮されています。

ニギスのおいしい食べ方

ニギスは石川県では「メギス」と呼ばれ、全国トップクラスの漁獲があります。7〜8月の休漁期を除き、底びき網で漁獲されます。

キスに似ているところから似鱚と名づけられたといわれますが、分類上はまったく別でサケの仲間に入ります。

青みがかった鮮やかな銀色の鱗に覆われていますが、鱗がはがれやすいのが弱点。目が棲んでいて、身に透明感のあるものが新鮮です。

  • つみれ汁

    ニギスのうろこ、内蔵を取り除き、よく洗います。すり鉢、フードプロセッサーなどですり身に。卵、長いも、味噌、片栗粉、おろし生姜を入れてさらにまぜ、一口大に丸めながら薄口しょうゆのすまし汁に仕立てます。

    最後に小口切りにしたねぎをのせてできあがり。

お手ごろ価格なので、つみれ汁のほか、煮つけ、フライ、丸干し、練り製品の原料など用途はいろいろです。

ウマヅラハギのおいしい食べ方

カワハギの仲間で、馬面剥と書きます。体はカワハギより長い顔をしていることからウマヅラハギ。

水から揚げてもかなりのあいだ生きている生命力の強い魚です。近年、漁師を悩ます大型クラゲを食べることがわかってきました。

ざらざらした皮に覆われているので、店頭には皮を剥いで並べられています。見た目によらず、透明感のある白身は刺身にすると淡白な味わいにビックリ。

  • 刺身

    秋から冬にかけての肝は格別で、刺身を肝和えで食べるのがおすすめ。酒の肴にあう大人の味です。

  • ウマヅラハギの味噌汁

骨つきのまま2〜3切れにカットむし、熱湯にウマヅラハギを入れ5分ほど煮立たせ、味噌を入れて味を整えます。臭みのない、贅沢な味噌汁です。

  • 冬は鍋

鍋にすると、フグのような上品な味わいを堪能できます。白菜、ネギ、豆腐などを入れると、これだけで寒い夜も暖かい気分に満たされます。

まとめ

それぞれの季節に応じて、いろいろな魚達が食卓を賑わしてくれるのは、まことにありがたいですね。自然の恵みを存分に味わってみませんか?