レモンはほとんどが輸入されていて、国産のものはわずかしか栽培されていません。国産レモンは農薬や防カビ剤を使わず大切に育てられていて皮まで安心して食べられます。では、国産レモンの産地と収穫時期はいつ?新鮮な国産レモンが手に入ったので、皮の砂糖煮、シロップ、塩レモンもつくってみました。
国産レモンの産地と時期
国内のレモンの産地
日本のレモンの産地は1位が広島で約63%、愛媛約20%、和歌山約5%、熊本、三重と続きます。年間出荷量は7.091トン(2015年)で、国産の比率は消費量全体のやっと10%くらいとか。スーパーで探しても、なかなか見当たらないはずです。
レモン栽培は温暖で日当たりと水はけがよく、海からの反射光もあたる場所が最適といわれます。レモンの世界で有名な産地といえば、イタリア、カリフォルニア、スペインなどですが、日本では瀬戸内海沿岸がこの地中海地域と気候が似ています。
広島県尾道市の瀬戸内海に浮かぶ生口島と高根島の2つの島はレモンの大産地で、瀬戸田レモンとして知られています。また、呉市の瀬戸内海沿岸では大長レモンが栽培されていて、この2ヶ所で国内の生産量の5割以上を占めています。
愛媛県では、今治市、上島町、松山市、伊予市、宇和島市、愛南町などで栽培されています。黄色いレモンのほか、9月〜12月に収穫される青いレモンをブランド化しています。グリーンの爽やかな香りと酸味が強く、料理の香りづけに適しています。
和歌山県では、有田町を中心に栽培されています。みかんの生産地の先駆けの土地では、雑味のないすっきりとしたみずみずしいレモンが採れます。
収穫時期と無農薬栽培
輸入レモンは年中出回っているのでいつが旬なのかわかりませんが、国産レモンは10月ごろから収穫をスタートし12月がピーク、翌年3月ごろまで続きます。
国内では、グリーンレモンを国産独自の商品として力を入れていて、秋口はグリーンレモンを、12月ごろから通常の黄色いレモンを出荷というのが一般的です。
国産レモンが安心だといわれるのは、収穫後に噴霧される防カビ剤「ポストハーベスト」未使用だからです。輸入レモンは数週間輸送されてくるため、ポストハーベストの防腐処理が不可欠となっています。
このように、低農薬で化学肥料の使用を極力抑え防腐剤やワックスを使っていないので、皮ごと安心して使用することができます。害虫も手作業で除去するなどていねいねいに育てられたレモンは、皮が薄く果汁が多いのが特徴です。
シトラールというレモンの香り成分は、油皮のぶつぶつとしたところ果皮のほうに多く詰まっています。いま人気の塩レモンや砂糖煮のように皮ごと使うときは、できるだけ国産のものをおすすめします。
レモンティーやケーキの材料に利用するには皮もいっしょに使うことで、採れたての香りが立ってフレッシュな味わいです。香りが強く苦味が少ない皮は、けずってパスタや肉料理の風味付けにもぴったりです。
レモン輸入の割合
気候や水はけなど栽培適地がむずかしいことから、国内で販売されているレモンの多くはアメリカなどからの輸入品にたよっているのが現状です。日本におけるレモンの輸入量は、アメリカからが60%、チリ34%、その他5%となっています。
こうした輸入レモンには、害虫やカビの発生を抑えるたくさんの農薬が使われているため、発がん性を心配する声もあります。
ノーワックスと明記された輸入レモンや国産レモンがおすすめです。国産のものは、デパ地下や高級スーパーには置いてありますが、地方の方はお取り寄せもできるのでネットで検索してみてください。
レモンの歴史
レモンの原産地はインド北東部で、10世紀なかばに地中海沿岸で栽培が始まったといわれています。15世紀になるとコロンブスの大航海時代、ビタミンC不足で発症する壊血病の特効薬として船に常備され、アメリカ大陸に伝わりました。
それより何千万年も前の時代にさかのぼると、マンダリン、ザボン、シトロンという柑橘の3つの野生種が自然発生し、そこからオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムが交配種として生まれたそうです。
日本へは明治のはじめに舶来品のひとつして渡ってきて、昭和はじめに瀬戸内沿岸の温暖な地域で栽培がはじまりました。広島県をはじめ、関東以南の水はけのよい海岸地帯の山の斜面を利用した土地で盛んになっていきました。
レモン栽培のお手本ともいえるのが、イタリアのアマルフィ海岸の果樹園です。ここでは、小規模で段々畑で昔ながらのつくり方が守られていて、レモンの樹を格子棚で支えたり、冬は果樹を風や露から守るため黒いネットで全体を覆ったりと、手間ひまかけて栽培されています。
アマルフィー産のレモンは皮が甘くて香りがいいので、大部分が名産品のレモンチェロの材料になるそうです。
レモンの皮の砂糖煮
国産レモンは皮ごと使う調理にも安心です。香りがいい砂糖煮やチョコレートをつけると、お茶うけにも喜ばれます。保存しておくとケーキや料理のかくし味にもなります。
材料
・レモンの皮……2個分
・レモン汁……大さじ2
・砂糖……皮の重さと同量
・グラニュー糖……適量
つくり方
①レモンのヘタとお尻の部分を取り除き、縦に6等分のくし切りにします。皮と実を外し、皮をタテ5mm幅に切りそろえます。
②鍋に①のレモンの皮を入れ、たっぷりの水で3回ゆでこぼします。水と皮を入れて沸騰させる作業を3回繰り返します。
③新しい水に1時間くらいつけておき、そのあとザルに上げて水を切ります。
④鍋に③を入れレモンの皮と同量の砂糖とレモン汁を加え、弱火にかけて水分がなくなるまで煮詰めます。130℃の低温で2分くらいが目安です。
⑤クッキングシートに並べ、グラニュー糖をふりかけ冷蔵庫で1〜2時間冷やせば完成です。
レモンシロップ
材料
・レモン汁……2個分
・レモンの皮の砂糖煮……適量
・砂糖……レモンと同量
つくり方
レモンと同量の砂糖でつけるだけのシロップです。砂糖煮で使わなかった果汁をしぼって、砂糖煮した皮をカットしていっしょに鍋に入れアクを取りながら半分量になるくらいまで煮詰めて完成。瓶に入れて冷蔵庫で2ヶ月ほど保存できます。
シロップの5倍のお湯で薄めてレモン茶として飲んでも、ヨーグルトのトッピングにもおいしいです。
塩レモン
塩レモンは香りと酸味が肉や魚の臭みを消してくれ、さわやかな風味になります。酸味があると塩を感じやすくなるので、塩分控えめの人におすすめです。パスタやドレッシングを作るときに加えてもさっぱりしています。
材料
・レモン……2個(200g)
・レモン汁……大さじ1〜2
・塩……25〜30g
つくり方
①レモンを洗い、くし切りにします。
②別のレモンで果汁をしぼります。
③①②を殺菌した瓶に入れ、塩を加えます。
④2週間ほどでレモンと塩が馴染んだら出来上がり。
レモンはビタミンCやクエン酸を多く含んでいるので、肌荒れや疲労回復、ストレス解消などさまざまな効果が期待できます。疲れたときに、砂糖煮やシロップで元気を回復しましょう。
まとめ
国産レモンの旬は冬でしたね。顔の見える生産者が栽培した安心・安全な素材だからこそできるものですね。国産レモンが手に入ったら、皮も捨てずに使いきりたいですね。