冬におすすめ金沢の「じぶ煮」って?材料やつくり方、その歴史も

「じぶ煮」は、金沢の冬の郷土料理です。鶏肉やすだれ麩、ゆり根、しいたけなど、寒い時期ならではの旨みが凝縮された一品です。つくり方はかんたんで、メインの献立にもなります。昔は、鴨肉を使っていたという歴史も興味深いですよ。

じぶ煮のつくり方

材料2人前

・鶏むね肉(または鴨肉)……100g
・すだれ麩(または生麩)……1/2枚
・ゆり根……半個
・ほうれん草……5〜6枚
・しいたけ……2枚
・小麦粉……適量
・調味料
 昆布だし汁……300cc
砂糖……大さじ1
しょうゆ……大さじ1
みりん……大さじ1
酒……大さじ1
練りワサビ……適量

じぶ煮には、家庭では鶏むね肉を使います。また、「すだれ麩」といってすだれに小麦粉の生地をはさんでつくる麩を使います。じぶ煮のだしがしみやすく、食感ももっちりしています。すだれ麩の代わりに生麩を使うと、高級感がまします。

つくり方/15分

①ほうれん草は、別に茹でで4cm幅に切っておきます。

②鶏むね肉を2cmに削ぎ切りし、小麦粉を薄くまぶしておきます。ゆり根、しいたけ、すだれ麩もひと口大にカットします。

③鍋に、だし汁、砂糖、しょうゆ、みりん、酒、すべて調味料を入れ煮立ったら、すだれ麩、ゆり根、しいたけ、鶏肉の順に入れ、3分ほど煮つめ出来上がり。鶏肉に火が通りすぎて固くならないよう仕上げるのがコツ。

お椀に茹でたほうれん草といっしょに彩りよく盛り合わせ、とろみのついた餡をかけ、最後に薬味の練りワサビを添えていただきます。

鶏肉に小麦粉をまぶすことで、うま味が閉じ込められ、汁にとろみもつきます。温かい冬の料理ですが、現在では旬の素材を組み合わせ一年を通して郷土料理として親しまれています。

じぶ煮の由来は?

江戸時代、加賀藩の土地には鴨が多く飛来してきたので、「じぶ煮」は鴨の肉でつくるのが一般的でした。加賀地方の片野鴨池周辺では、藩政期から続く坂網猟の伝統が受け継がれています。1年のうち11月15火〜2月15日の3ヶ月しか捕獲できない貴重なもので、現在では一般に出回ることはほとんどなくなりました。

じぶ煮(治部)と呼ばれるようになったのは、豊臣秀吉の兵糧暴行であった岡部治部衛門(おかべじぶえもん)が朝鮮半島から伝えた料理だから「じふ煮」という説や、鍋で「じぶじぶ煮る」音がするからという説などもあります。

このほかにも、加賀藩の前田利家と親交のあったキリシタン大名高山右近が藩に滞在していたとき、キリスト教の宣教師が伝えたポルトガル料理が日本風になったともいわれます。

江戸時代から伝わり、武家から庶民まで親しまれていた味わいは、じぶ煮と呼ばれて今も金沢の郷土料理としてしっかり受け継がれています。

まとめ

じぶ煮は、鶏肉に小麦粉をまぶして煮てとろみをつけるところが特徴です。鶏肉の代わりに牡蠣や、季節の野菜、たけのこ、セリ、水菜や春菊どを合わせてもOKです。金沢の料亭や割烹で加賀料理の定番のようになっていますが、家庭でもかんたんにできるので、ぜひお試しください。